定年退職後のストレスによる膝の痛みに悩む60代女性
心に宿る感情によって体に痛みが出ることはよくあることです。
一部の整形外科では、『認知行動療法』を使って患者さんの思考や行動を改善し不調の根本改善を図っています。
『認知行動療法』以外にも、
- 心からくる痛みのメカニズムを理解すること
- すでに体に溜まった緊張を減らすこと
- 適切なセルフメンテナンスを実践すること
で、痛みが出なくなる可能性があります。
定年退職後、再雇用してもらってから出るようになった膝の痛みの事例です。
定年退職後のストレスによる膝の痛みに悩む60代女性の施術
背景
一年前に定年退職。
すぐに同じ会社で再雇用してもらえたが仕事内容が変わった。
事務職 → 商品の補充や陳列
- 立ったり座ったりが多い
- 荷物を持つ
- 運転が多い
お身体の状態
- 膝の痛みで曲げにくい
- 腰の痛み
「膝は立ったり座ったりでなったかもしれない」
「腰は前職から引きずっているかもしれない」
と、おっしゃられています。
自律神経がかけている緊張に対し自然な解放を促す施術
自律神経が起こす筋反射を利用した整体チェック法で、からだに溜まった緊張を一つ一つ捉え解放を促していきます。
マッサージやストレッチなど刺激は入れない施術です。
施術経過
3回目の施術で、心の状態(感情・思考)が生んでいる痛みと確信しました。
初回施術
溜まった緊張がかなり多かったが、繰り返す確認ごとにお辛さは減少。
ストレスヒアリングとしては、「仕事内容が変わって一から覚えることが多い」。
最終、膝と腰の痛みは無くなった状態で終了。
一から覚えること以外のストレスが隠れていると感じたが、お辛さに関してはその場で消えました。
「悩んどったのにこんなに楽になるとは」とおっしゃられていました。
2回目施術(前回から2週間後)
「次の日すごい体軽くてびっくりでした」
「だんだんと溜まるのか、右腰と膝が痛く曲げにくい」
施術では、前回の施術で緊張はかなり減っているので、膝も腰もスムーズに痛み無くなり終了できました。
しかし、前回の術後、痛みが出始めるのが早く、疑問点として残りました。
3回目施術(前回から2週間後)
「右腰と膝が痛いです。ずっと座ってて動く時に膝に痛みが出ます」
「仕事で棚を上下したりすると痛い。品を陳列するんです」
「なぜか、遊びで動く時は痛くないんです。仕事中に痛みを感じます」
1週間前、ライブに行かれたみたいですが、その時はぴょんぴょん飛んでたのに全く膝が痛くなかったみたいです。
心の状態と連動する痛み(ストレス痛)がかかわっている可能性
振り返り確認してみると、
1回目も2回目も施術は土曜日、次の日は休みなので痛みは出ない。
会社に行きだして痛みが出てくることが明確になった。
心の状態によって痛みが強くなったり出なかったりするストレス痛と判断して、施術の前に、ストレス痛のメカニズムの説明と、セルフメンテナンスをお伝えしました。
「説明にあった事例のことが良くわかる。嫌なんでしょうね。私も。きっとね。棚の陳列がたくさんあるような、一から整えていくお店には行きたくない」
再雇用による立場の変化がストレスとして反応
施術では、今まで同様にお辛さはスムーズに減っていきます。
ヒアリングを通じて感じていた、『同じ会社の再雇用による立場の変化』によるストレス。
これが、整体チェック法にもマスキング的に反応してきました。
ひもつく残緊張の解放を進めると、
「体が軽い!なんで?」
4回目施術(前回から1カ月後)
「膝が痛まなくなった。腰は、お尻の張りがあるくらい」
「不思議ですよね。気持ちから痛みですか」
「セルフメンテナンスもやってます。膝の痛みが出なかった」
この後、5回、1か月間隔のメンテナンスで、膝の痛みが出ていないことを確認してこの記事を記しました。
整体所感
この度の様な、心の状態や思考からくる痛みの出方を当院ではストレス痛と呼んでいて、他のお客様の事例でも複数確認されています。
感情の抑圧による痛み
たとえば、今回の場合、同じ会社の再雇用で仕事の内容が変わってしまった。
- プライドに障る(今までのスキルが活かされていない)
この様な感情が心に宿り、感情は表には出せないから抑圧しなければならない。
感情の抑圧は痛みにつながりやすく、
脳は、その感情に意識が行かないように、意識をそらす手伝いをしてくれることがわかっています。
それが、今回は膝の痛みだったわけです。
抑圧された感情に対する防御反応
筋骨格系の症状であれ、消化器系や泌尿生殖器系の症状であれ、身体にさまざまな症状が現れるのは、当人の注意をその症状に引きつけるためである。
サーノ博士のヒーリングバックペイン(著者 医師・教授ジョン・E・サーノ)より
無意識下にある抑圧された感情が表に出ないように、脳が痛みを出して意識をそちらに引きつけてくれる。
感情の種類は様々で、常連様に起こる痛みの出方が、
- 転職
- 部署移動
- 仕事が評価されない
- 今の仕事に飽きたが給料が良く家族がいるので辞められない
- 夫の退職で接触時間が増える
- 介護
- パートナーに妥協した行動
などの環境の変化を機に、いつもと違う消えにくい痛みがついてしまう現象が確認されることがあるのです。
もう一つのパターンとしては、
コミュニケーションの手段としての痛み
「痛いから、仕事ができない」「痛いから、わがままを聞いてほしい」というように、痛みが「コミュニケーションの手段」となってしまうことがあるのです。
長引く腰痛は脳の錯覚だった(著者 丹羽真一・大谷晃司・笠原諭)より
自己主張をする手段に痛みを使った場合、痛みが無くてはならないものになってしまう。
たとえば、「今の陳列の仕事から外してほしい」「デスクワークに戻してほしい」と考えていた場合、陳列作業ができなくなる位置(膝)に痛みを脳が出してくれる。
このような痛みの出方もあるのです。
当院でのストレス痛への対処
体に溜まった過去の残緊張を減らしても痛みを繰り返す場合、心の状態と連動したストレス痛の可能性があります。
ヒアリングと経過から、ストレス痛の可能性があると感じた場合、過去にあった事例を使いそのメカニズムを解説します。
痛みにつながるメカニズムがわかると、ストレスになっていたかもしれない事象を教えていただける場合があり、それがわかることで緊張解放がうまくいく場合があります。
中には、メカニズムを理解するだけで痛みの出方が変わる方もおられます。
自分自身で『何に気を付ければよいか』わかる場合があるからです。
さらには、ストレス痛に効くと言われ公開されている安全なセルフメンテナンス手法があり、これについてご案内する場合があります。
心に常に在る感情で痛みが出ているわけですから、日々、ご自身で行うセルフメンテナンスはかなり有効で、常連様を通じて効果が確認ができています。
当院では、既に体に溜まった緊張を減らす以外に、上記アドバイスをおこなうことでストレス痛に対処していきます。
不調は、基本は脳が理由があって起こしていることです。
マッサージやストレッチや揺らしたりなど刺激を入れても、脳がそれをやめてくれるわけではない。
逆に、神経を逆なでることになる場合もありますから注意が必要です。